介護保険の給付と負担限度額

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介護保険を使えば利用者負担は原則1割

 

介護保険を使ったサービスを利用する際、ケアマネジメントについては全額が保険給付となり、利用負担はありません。

 

ケアマネジメントとは、個々の利用者が望むサービスと、介護事業者が提共するさまざまなサービスから、その人に適したサービスを選択して結びつけること。いわば、相談窓口での調整です。

 

利用料が発生するのは、その調整を経て、「では、そのサービスを利用しましょう」と契約し、実際に介護業者のサービスを利用しはじめたときからです。

 

介護保険を使ったサービスを利用した場合、利用者が負担するのは、原則として費用の1割です。たとえば、1万円分のサービスを利用した場合、利用者が支払う費用は1000円ということです。

 

具体的な金額の目安は、たとえば要介護5の人が、介護老人施設の多床室(相部屋)を利用した場合、1力月間の介護サービス費は28万円ですが、利用者の負担は2万8000円で済みます。

 

ただしこの1割負担のほかに、居住費や食費、日常生活費を別途負担しなければならないので、1力月間の負担の合計は約9万円となります。

 

低所得者や、1力月の利用料が高額になった場合は、負担の軽減措置が設けられています。

 

「償還払い」と「現物給付」

 

介護保険の給付、つまり、支払われ方には、「償還払い」と「現物給付」の2種類があります。

 

償還払い

 

いったん利用者が費用の全額を事業者や施設に支払う。後日、明細を記した領収書を保険者(市区町村)に提出し、支払った費用の9割の払い戻しを受ける。

 

現物給付

 

利用者は、事業者や施設に費用の1割だけ支払う。その後、事業者・施設が、残りの9割の費用を保険者(市区町村)に請求し、支払いを受ける。

 

介護保険では、原則として償還払いの方法をとりますが、利用者の利便性を考慮し、次の一定の条件を満たせば現物給付が認められます。

 

現物給付が認められる条件
  • 法令で指定された事業者・施設のサービスを利用すること
  • 居宅サービス・地域密着型サービスの場合は、各サービスの利用についてケアプランが作成されていること。ケアプラン作成を居宅介護支援事業者等に依頼した場合は、その旨を保険者に届け出る。ケアプランを本人が作成した場合は、そのプランを保険者に提出する

 

介護保険給付の上限

 

介護や支援が必要な状態になったとき、個々人のニーズに応じて制限なく介護サービスを利用できるにこしたことはありません。しかし、それでは保険者(市区町村)が支払う保険給付金も膨大になつてしまい、介護保険の運営そのものが破綻してしまいます。

 

このため、居宅サービスや地域密着型サービスの保険給付の総額には、月単位ごとに上限額が定められています。これは要介護度別に決められており、「区分支給限度基準額」といわれます。

 

つまり、要介護認定の結果に応じて、利用できるサービスの最大量が決められている、ということです。

 

たとえば、居宅サービスの1力月当たりの利用限度額は、以下のとおりです。

 

居宅サービスの1力月当たりの利用限度額

要支援1 49,700円
要支援2 104,000円
要介護1 165,800円
要介護2 194,800円
要介護3 267,500円
要介護4 306,000円
要介護5 358,300円

 

この限度額を超えても、超えた分を自己負担すれば、サービスを利用することはできます。しかし、10割全額負担となることを頭に入れておく必要があります。

 

ほかにも、用具購入費(年度ごと)や住宅改修費(原則として1回)の上限が決められています。

 

高額介護サービス費

 

介護サービスを利用するにあたり、利用負担は1割とはいえ、年金で生活する高齢者にとっては、決して少ない金額とはいえません。

 

そこで設けられているのが「高額介護サービス費」です。

 

これは、健康保険の高額医療費に匹敵するもので、介護サービスを利用して支払った1割の負担額が、決められた上限額を超えた場合、超えた分のお金が戻ってくる制度です。

 

ただし、払い戻してもらうためには、これも高額医療費と同様で、新生が必要です。

 

申請先は市区町村ですが、市区町村からは何も言ってこないうえに、申しなければ2年で無効になってしまうので注意が必要です。

 

なお、施設での居住費や食費、差額べッド代、日常生活費など、介護の対象とならないものは、当然ながら、高額介護サービス費に計上することはできません。

 

また、在宅で訪問サービスや通所サービスなどを利用している場合、福祉用具の購入費や住宅改修費なども、高f護サービス費の対象にはなりません。

 

高額介護サービス費の上限額は、個人の所得、あるいは世帯の所得によって、設定されている金額が異なります。

 

2015年1月時点では、利用者の所得の区分によって4段階に分けられていて、老齢受給者や生活護受給者などは上限が低く、高収入の人ほど高く設定されています。

 

所得の設定区分

世帯当たりの上限額

第1段階 生活保護者等または世帯全員が住民税非課税で、老齢福祉年金受給者

15000円

第2段階 世帯全員が住民税非課税で、公的年金+合計所得金額が80万円以下

24600円

第3段階 世帯全員が住民税非課税で、公的年金+合計所得金額が80万円超

24600円

第4段階 住民税課税世帯

37200円

 

高額介護サービス費の計算方法

 

高額介護サービス費は、次のように計算します。

 

月の初日から末日まで、月単位で1割の負担額の合計で計算する

 

第1段階、第2段階の該当者は世帯の合算はできない。つまり、個人の上限が月1万5000円で、これを超えた場合、申請すれば払い戻される

 

〈例〉1力月に1万8000円を負担した場合、18000-15000=3000円となり、3000円が払い戻される

 

第3、第4段階の該当者で、同に複数の介護保険利用者がいる場合、1割の負担額を合算して申請することができる

 

〈例〉第3段階(自己負担上限2万4600円の世帯で、1力月に夫が3万円、妻が2万円を負担した場合
・夫の計算(30000+20000=24,600)X30000/(30000+20000)=15240
・妻の計算(20000+30000=24,600)X20000/(30000+20000)=10160
となり、夫は1万5240円、妻は1万160円が、それぞれ払い戻される

 

低所得者へ補足給付

 

介護老人福祉施設など、施設に入所して介護サービスを利用したときは、サービス費の1割以外に、居住費や食費、日重活費を別途、全額己負担しなければなりません。

 

ただし、これらについても、低所得者への軽減負担策があります。

 

低所得者の居住費と食費については、所得に応じた自己負担の限度額が設定されており、これを超えた分は介護保険からさ給付れることになっています。

 

これは「特定入所者介護サービス費」(一般には補足給付)と呼ばれるもので、全国すベての施設で利用することができます。

 

ただし、この給付を受けるには、あらかじめ市区町村に申請して手続きを行い、「負担限度額認定証」の給付を受ける必要があります。

 

介護保険給付の対象とならないもの

 

  • 日常生活費(教養娯楽費、おむつ代など)
  • 食費
  • 施設入所時の特別室の費用
  • 施設入所時・短期入所時の室料、光熱費
  • グループホームなどの家賃、管理費
  • 訪問・通所サービスを通常の営業地域外で利用する際の交通費

 

 

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