特別養護老人ホーム(特養)とは?
特別養護老人ホーム(特養)は各市町村の社会福祉法人が運営しています。
特別養護老人ホーム(特養)は在宅での生活が困難で、常に介護が必要とされる高齢者が入所する施設です。施設数は、全国に8782件、約51万7000人の利用者がいて、入所を希望している人が52万人とも言われています。
ただ、その52万人全員が特養に入る必要はありません。本当に特養を必要としているのは、その中でも6、7万人くらいだといいます。しかし今すぐにでも特養への入居が必要な6、7万人の高齢者でも、特養に入れない。今の日本の現状では、特養の待機が解消される見込みはまったくありません。
しかも、2015年の介護保険法の改正で、特養の入所資格は、要介護度3以上の人だけになりました。
特別養護老人ホーム(特養)の実態
公的な「特別養護老人ホーム(特養)」の人気は相変わらずです。全国には約52万人もの待機者が列をなしています。入居費の安さを理由に申し込む人は多いですが、サービスの実態は必ずしもいいとは限らないようです。
特別養護老人ホーム(特養)は、看護・介護職員が24時間常駐する介護施設。従来は「要介護1」以上であれば、好きな施設に申し込みできたが、2015年の法律改正からは原則、「要介護3」以上の中重度者に限られます。介護ニーズの急増による保険給付費の抑制が狙いですが、これまでよりも狭き門となりました。
それにしても、なぜ特別養護老人ホーム(特養)の人気が高いのでしょうか。その理由のひとつは、入居費の安さです。所得の多寡にかかわらず入居でき、一時金は不要。4人部屋ならば月10万円程度(一般所得者)で利用できる。所得が低い住民税非課税世帯であれば、さらに安くなります。
終身利用できる点も、家族に好評です。「介護老人保健施設(老健)」と料金体系はそれほど変わらないですが、こちらはリハビリを受けて在宅を目指すのが基本です。3?6力月程度で退去を迫られる場合もあるため、長期入居を望む家族にとっては特養の方が都合がいいというわけです。
人手不足で特養の質の低下
特養の質の低下も懸念されています。
オムツ外しや歩行介助などに力を入れている特養もありますが、重度で全介助の必要な入居者が増え、オムツ交換や入浴介助などをこなすので精一杯なのも実情です。腰痛など肉体的な疲労も大きいといいます。
看護・介護職員の配置基準が変わらないまま、要介護3以上に入居が限定されると、虐待が増える恐れもあります。
深刻な人手不足も課題ですが、居心地のいい職場を求めて施設を渡り歩く介護職員も増えているといいます。
特に若い職員はきつく叱られたり、人間関係がうまくいかなかったりすると辞めやすいのが現状です。そのため施設側も思うように指導できないようです。
給料の低さが人材難の理由だとされていますが、高齢者と接する仕事にやりがいを感じて介護の仕事を選ぶ職員も多いです。ただ、感情のぶつかりあいや葛藤もあり、ストレスがたまりやすい現場です。精神面へのサボートが必要ですが、それができている施設はなかなかありません。
入居費も安くない!?
入居費も安いとは言い切れないのが特養です。
最新型の特養は個室が基本で、入居費|が月15万円以上かかるところもあります。一方で民間の有料老人ホームは低価格化が進んでいるので、特に地方では特養の方が高くつくことも少なくないです。
2015年8月からは、4人部屋の部屋代(一般所得の場合)が月約1万6000円値上げされたうえ、住民税非課税世帯を対象とする食費と部屋代の軽減策も、預貯金がで1000万円超、夫婦で2000万円超ある場合は適用されなくなります。
とはいえ、軽度者しか対応しない民間の老人ホームが増えているだけに、「最後の砦」のような役割が高まっています。
特別養護老人ホーム(特養)入居のコツ
最近は重度化で亡くなる入居者も多いため、意外に順番が回ってくることもあるといいます。とりあえずの申し込みも多いのが特養です。ある施設では待機者リストの50番目でようやく入所希望者にたどり着いたそうです。
住まいのある地域にこだわらず、少し範囲を広げて申し込むとチャンスが広がります。
特別養護老人ホーム(特養)は自治体の基準に基づいて優先度の高い要介護者から入居できる仕組みとなっています。介護度の高さや、認知症の程度、家族の介護力などが勘案されますが、最終的に順番を決めるのは施設です。
逼迫している状況がより具体的にわかる人の方が、入居の機会は高まるようです。それには、ショートスティを日頃から利用しておくのもおすすめです。ドタキャンも多いので、空きが出た時に連絡をもらい、利用すると施設側も助かるといいます。
施設側との関係づくりも、特別養護老人ホーム(特養)への入居を早めるコツと言えるでしょう。